老人ホームでお客様をお迎えする秘訣 |
ちょうど母の友達の高橋さんが面会にきたいというので、一緒にお連れしました。

お客様は、(認知症でも)昔のことなら覚えているのではないか?と期待を抱いてくれるのですが、
すでに私と妹のことも娘とわからないし、自分が子どもだったときの記憶もすっかりありません。
あるとしたら「厳しい母親に育てられた」とか「長女だからしっかりしなさい」とよく言われてて嫌だったという感情です。
感情は深く刻まれているみたいで、ときどき断片的に姿をあらわします。
高橋さんは自分のことを忘れられていることにショックを受けないだろうか?
機嫌が悪い日にぶつかり、暴言をはいたりしないだろうか?
遠路きてくださったのに、無関心でがっかりさせたりしないだろうか?
いろいろ心配になります。
でも、昨日はいらぬ心配でした。
母の第一声は「しばらくぶりねー!よくいらしてくれたわね」。
笑顔もみえ、目と目が合い、表情だけを見ていると昔に戻ったようです。
いつからのお友達で、どんなことをしたのかという記憶はないし、お名前は忘れているものの、
顔と雰囲気を覚えているようで、再会を喜んでいました。
高橋さんも母に会った喜びを素直に伝えるので、ちぐはぐながら会話になります。
記憶はなくても、感情の交換はできるのですね。
高橋さんと母は「土の健康を守る会」という有機無農薬野菜を共同購入していた仲間。
最初は有機だから安心といって一緒にとり、その都度分け合う仲間がいましたが、
泥つきの野菜で、届く量も定まってなくて、配達日に野菜がこないこともあり、
続けていくのは大変だったと思います。
脱落者が次々と出るなか、最後の2人になり、ずいぶん長いこと同じ野菜と向き合っていた方です。
「格闘」するように不器用な農家さんと付き合っていました。
そういうつながりは、母にとって大事なものだったのでしょう。
結局、病気になっても若いときの生き方がでてしまうのだなあとも思いました。
お客様をお迎えするうえで、工夫したことは
・自室に自宅で使っていた食卓を持ち込んだ。
・昼食を部屋に運んでもらい、自室で面会。
・お客様と私の弁当を持参して一緒に食べる。
すると感染症予防対策でつけているマスクがとれ、母もこちらの表情を読み取りやすい。
・「これ食べる?」など、食べ物についての会話もできる。
・往診やアクテビティの時間の前に面会時間設定し、相手も帰りやすいようにする。
来客のときは、こんな感じでやってみようと思います。