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「褒め」の上塗り

朝、食事を終えて歯磨きが終わった母は、
デイサービスのお迎えがくるから、靴を履きたい、ザックを背負いたいという、スイッチが入ってしまいます。
気を紛らすタイミングでやってもらうのが、
食器ふきです。
「私が洗う人をやるから、ふく人をお願い」
と頼むと、何をしたらいいか分からないでいるので、ほぼ引き受けてくれます。

機嫌のいいときは「助かる〜?」と母が聞いてくるので、
「助かるなんてもんじゃないよ!ありがたや、ありがたや、だよ」と感情を伝え、
「ごはんを作って洗って、ふいたら時間が倍かかる。洗いながらふいてくれるから時間が短縮できていいよ」と理屈を添えます。
私が話しているうちに、母はおそらく状況を頭の中で整理するのだと思います。
気分も悪いはずがありません。

「そう? ごはんを作って洗う人の方が大変よね」と、会話に私への気遣いが出てくるときは、すごくいいとき。

「(食器を)洗う人あれば、ふく人ありだね、昔の人は、二人三脚とかうまいこと言ったよね」と、
リズムのいい言葉で返し、
昔の人はエライというオチにします。
これはあらゆる場面で使えます。

そうすると「昔の人は物が何もなかったのにエライね」と、母なりに色をつけて返してきます。

機嫌の悪いときは下手に出ます。
「疲れてると思うけと、食器ふける?」
と促せばすんなり。

口数が少ないときでも
「褒めを上塗り」をしておくと、脳の片隅では聞いていて、言葉は届いているのだと思います。繰り返し伝えた言葉は、ある日、 母の言葉になって出てくるのです。


「褒め」の上塗り_d0122797_11422905.jpg

余った豚肉、トマトの卵炒め。
茹でたパプリカ、小松菜と一緒に。
味付けするのは、一品あればいいようです。



by shukas | 2016-05-24 11:11 | かんがえる | Comments(0)

フードライター大久保朱夏の暮らし


by shukas
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