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2015年の漢字は「白」

戦後70年の節目の年。振り返ってみれば、大きな時代のうねりの中を
生きていると身をもって知った一年でした。 
今年の漢字は「安」でしたが、私は「白」。

今年の前半は後半を予感していたかのように凝縮。
『はじめてのライスミルク』(自由国民社)を制作しながら、
小島美和子先生の「1週間でお腹からスッキリやせる食べ方」(三笠書房)を編集するなど
エンジン全開で駆け抜けてきました。
毎月ランナーのための食事講座で料理を作ったり、
バイリンガルの料理教室で「ひな祭り料理講座」をしたり、
「ライスミルク料理教室」をしたり、『クリール』の連載が始まったり、
本当に全力で打ち込める素晴らしい仕事に恵まれました。
多くの関係者に改めて感謝を申しあげます。

今年の漢字の「白」は、ライスミルクの「白」でもあります。

やりたいことを心おきなくやれる時間が、
限られていることは薄々気が付いていました。
母の徘徊の頻度が極端に多くなっていたのです。
近所の方からクレームの電話がかかり、頭を下げて歩いた日もありました。
あー、これはいま思い出しても結構辛い!
(適切な投薬でもう徘徊はしません。母の徘徊は副作用でした)

母を施設に預けるために奔走していましたが、施設側から拒否。
主治医を変えたら、診断も投薬も間違っていたことが分かりました。

結局、家族で投薬管理をすることになり、
71歳の母を本格的に介護することになったのが9月でした。

茫然自失、頭が真っ白の「白」でもあります。
実家のテレビで、安全保障関連法が成立する瞬間を見ていました。
学生時代、政治研究会に所属し、学生運動を熱心にしていた母が
このニュースを理解できないことは、物悲しかったです。
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気持ちが沈む日々でしたが、10月初め頃、
朝日新聞の「折々のことば」で、森にいん棲した思想家ヘンリー・ディヴィッド・ソローの
言葉が紹介されていました。
You must get your living by loving.
「愛することで生計を立てなければならない」。
山口晃の訳は「生計を立てるということは、利益に無関係に骨身を惜しまないことなのです」と紹介されていました。
livingにlovingが掛けてあるのを見て、
母の介護生活も愛なのかと、この言葉で気持ちが切り替わりました。

認知症介護の経験も、今後に生かしていきます。

真っ白になった2015年でしたが、
新しく切り拓いていけると、
自分を強く信じてやっていきます。
仕事と介護の両立も、課題は山積みで、
矛盾もあるもののデイサービスと
3人のヘルパーさん、夫、妹の助けでなんとかかんとか。友達の支えもありました。感謝!

11月、食コンディショニングプロジェクトの尾道合宿のとき、父方の100歳の祖母に会ってきました。寝たきりで私の存在は分から
なかったと思いますが、祖母のベッドが置いてある居間に飾ってある「悠々として急げ」という開高健の色紙が目に飛び込んできました。
開高健はお忍びでたびたび尾道にきていたそうです。
祖父は開高健と親交あり、飲みに連れていくなど遊び相手をしていたと叔父から聞きました。
「悠々として急げ」
これは祖父からのメッセージだと直感しました。
祖父の命日の少し前のできごとです。
この言葉を胸に2016年を迎えようと思います。

2015年の漢字は「白」_d0122797_18593886.jpg

by shukas | 2015-12-29 18:42 | かんがえる | Comments(0)

フードライター大久保朱夏の暮らし


by shukas
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