17日、
認知症フレンドリージャパン・サミット2017に参加しました。
全国から「認知症の人にやさしいまちづくり」の活動をしている人が集結する
イベントです。認知症の人や介護している家族・行政・企業・介護職・専門職・NPO・ボランティアなど、想像以上に多様な職業の人が集まっていることに驚きました。
官民協働・産学協同、その種の豊かさが見えてくるようです。
▲丸いダンボールを膝にのせて4人で椅子にする。共同作業 ただ発表を聴くだけではありません。写真は「Dementia-Friendly Communityを再考する〜先進地域のトップランナーとの対話から〜」の討論会後のグループワークの様子です。
自分の考えを話し、相手の話しに耳を傾け、
キーワードをピックアップし、次のステップに進むヒントを探していきます。
このサミットに参加し、誰とも話さなかったという人は、1人もいないでしょう。
対話が人や社会を変える原動力になる、そんな願いが込められているように感じました。
「認知症の人にやさしい」といっても「認知症の人だけを特別扱いする」のではありません。
人生100年といわれる超高齢化社会を前に、安心して住み続けられるまちはや社会は
どのようなものなのか、どういうシステムがあったらそれが全国で実現するのか?
という急務の課題をみんなで考えるという熱が対流しています。
たとえば臨床福祉専門学校の黒川容輔先生が講師の
「認知症フレンドリーなコミュニケーション」というセッション。
黒川先生は言語聴覚士(ST)なので、
テクニックの話題なのかと思っていたのですが、違いました。
認知症の人とのコミュニケーションは、すれ違いが起こりやすい、
少しでもすれ違いをなくす方法はないのか?
そういう社会はどんな社会なのか?というのが同セッションのテーマでした。
やはりベクトルは社会に向いています。
イントロダクションの後は、自己紹介タイム、だったのですが、
自己紹介する人は「話さない」「文字を書かない」という制約がありました。
えっ??どうすればいいの!?同じグループになった6名でしばし沈黙。
自己紹介する人以外の人が質問をし、首を横に振ったり、縦に振ったり、ジェスチャーで返します。
時間はかかりますが、相手の簡単なプロフィールはわかりました。
金沢から来た方が、親指を折り、能登半島の地形を
表現していました。伝わるものですねー!
その一方で、専門職以外の人は職業の細かなニュアンスが伝わりません。
私はライターであることはわかってもらえましたが、
その先の得意分野については、ジェスチャーでは限界がありました。
無言の自己紹介は、この言いたいことが理解してもらえない
もどかしい感情を味わうのも狙いのひとつだそうです。
分からないからこそ、もっと相手を知りたいという「余白」も生まれます。
「認知症だから話が通じない」「認知症だからわからない」と思って
会話をはじめると、コミュニケーションが乏しくなり、
信頼関係にはつながらないということも改めて認識しました。
YESとNOだけではなく「話したい」気持ちは共通ですね。
認知症の人が分かりにくい、伝えにくい状況や場所は?
理想のコミュニケーション場所は?
次々出される問いをみんなで考えて共有し、
黒川先生が解説をするエキサイティングなライブです。
私がもっとも言葉に詰まったのが最後の問いかけ。
もし自分が認知症になったらだれに助けてもらいたいか?
家族や職場とどんなところが折り合わないか?
会場から実にいろいろな意見が出ました。
・目をそむけず家族に一緒に考えて助けてもらいたい。
・家族に迷惑をかけたくないので、離れたところで暮らしたい。
・職場によき理解者がいてくれるといい。
・まずスマホやAIを駆使し、タスクと記憶を補う。
・うまく人に弱い自分を委ねていけるようにする。
・上手に認知症になるためにいまから知識を得ておく。
・ヘルプカードを持ち歩き、困っていることを伝えたい。
・失敗しても怒らないでほしい。急かさないでほしい。
だれもが認知症になる時代ということはわかっていても、
自分のこととなると受容しにくいものです。
そのときには認知症を受容しやすい社会になっていてほしいという思いも強くなります。
認知症にやさしいまちづくりの先進地域に住んでいなかったら?
別のセッションのまとめで、サミットのオーガナイザーの
河野禎之先生が話したように「不公平感」があります。
いったい今まで何をしてきたんだって自分にも社会にも憤るでしょう。
サミットで知り合った方を頼りに、いくつか現地を訪ねて、
自分の肌で「認知症にやさしいまちづくり」を感じてみたいと思っています。
その出口はいまは見えませんが、そのうち形にします。
そして、やはり食の部分で、できれば認知症の早期の人に何かできることがないかと思うのですが、もやもやしている状態です。
実は「まちづくり」は父の専門分野、認知症は母の病気。
認知症とまちづくりが自分の中でつながる日がくるとは
数ヶ月前まで思ってもいませんでした。
これはどんな巡り合わせなのでしょうか?
ともかく、今はワクワクする方向に進んでみます。
▲付箋とマジックが配られ、キーワードや新しい視点、共有したいことをどんどん付箋に書くのですが、これがわりと難しい。ついメモしたくなる。座り方もいろいろで、ワークショップの運営も発見いっぱい。