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認知症の人にやさしいまちづくりのワークショップに参加

母の認知症介護をしていたとき、住み慣れた地域や街から
浮いているような居心地の悪さを感じていました。
2025年には認知症の人が700万人になるといわれています。
65歳以上の5人に1人。認知症は「個人」の病気ですが、
「社会」が変わっていかないと立ちゆかなくなるという危機感を抱いていました。

母を無事に施設に預け、いま認知症に関していろいろ取材をしています。
※雑誌『栄養と料理』9月号にも記事が掲載されます。

24日、認知症の人にやさしいまちづくりを考える
市民参加型のワークショップに参加してきました
主催はNPO法人認知症フレンドシップクラブ
進行役は同NPOの徳田雄人さんと、筑波大学のダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンターのダイバーシティ部門にいる河野禎之先生です。
河野先生は臨床心理士として長年認知症にかかわっています。

昨年度3月、町田市では認知症の人、家族、医療福祉関係者、一般企業、市民など
いろいろな人が参加して、「認知症の人にやさしいまちづくり指標」を作成しました。
ここで用いられている指標の枠組みは、河野禎之先生が作成したもの。
都市計画のまちづくりではこうした指標が使われることがありますが、
「認知症」にかんする内容に用いられるのは初めてです。
つまり町田市にしかこの指標はありません。

今回のワークショップは、シートを作成から1年以上経過したところで、
「認知症サポーター」の項目を中心に、内容の再点検をするのが目的です。
町田市以外の住民参加もOKだったので参加しました。
会場に入ったとき、集まっているみなさんの雰囲気が明るいのが印象的。
大手コンビニの行政推進担当者など
一般企業の人も多い印象です。
認知症についてこんなに考えている人たちがいてくれたのかと、胸に迫るものがありました。
認知症の人にやさしいまちづくりのワークショップに参加_d0122797_20241137.jpg

(写真は進行役の徳田さん。河野先生も撮ればよかった!)

指標シートは21の項目について5段階のステップが記されています。
たとえば「教育セクターとの連動」という項目は

1 とりあえず学校で講座をする、知る。
2 家族等に知らせる。
3 講座を受けた子供たちが家族をサポートする。
4 講座を受けた子供たちが認知症の方への声かけをする。
5 講座を受けた子供たちがグループ活動、サポーターサークルを行う。


になっています。「5」で理想を描くというのがポイントです。
「プロセスをみんなで共有すること」「初期の段階で関われること」が、
認知症の人にやさしいまちづくりを実現していく過程で大事だと河野先生は言います。

それぞれの項目について、今どこの段階にいるのか?
次のステップに行くためには何が障壁になっていて、
どんなことを実現すればいいのか? グループワークをしました。
わたしのグループは、町田市の高齢福祉課の人、法政大学の学生さん、VR認知症の体験会を実施している企業の人、移動をサポートするアプリを開発している人など多彩。グループワークはあまり経験がないのですが、テンポのよい進行と、メンバーのリードでスムーズに意見交換できました。

項目を細分化し、段階を分けて考えていくことが大事なのですね。
認知症サポーターのことだけでなく、教育、商業、交通などについても
考えられていることに感激しました。
どこを歩いているか迷っているときに「地図」を手にしたかのような感覚に。

終了後、河野先生にご挨拶をして感想をお伝えしました。
「認知症にやさしいまちづくりは、単純に認知症に理解があるやさしい人がいっぱいいる街ではない」と河野先生。この考えに共感します。
行政の施策や企業のサービスにかかわる領域が多くあり、
親切な人が増えても解決しない、社会的な課題がたくさんあるのが認知症です。

でも、だいじょうぶ! 認知症の人にやさしいまちづくりを考えている市民が
大勢いるんだからよくなるよね、そんな希望が持てました。

※町田市の認知症の人にやさしいまちづくりの指標づくりにかんすること
by shukas | 2017-07-26 20:20 | かんがえる | Comments(0)

フードライター大久保朱夏の暮らし


by shukas
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