子どもの頃、警報が出るような大雨や強力な台風が通り過ぎ去ると、
父から「(街や近くの川が)どうなっているか、見てこい」と言われた。
素直に見に行ったことはない。父には何かと反発してきた。
それなのに時が経った今では
「見ておかなくては」という気持ちがわき上がる。
カメラを片手に出かけてみると、
駅の近くのいつも走っている川沿いの樹が倒れていた。
周囲は黄色いテープが張られ、警官が立っている。
午前中の強風で倒れたという。
むき出しになった根っこから、うめき声が聞こえてくるような生々しさ。
倒れた樹の下敷きになり、幹が裂けた桜は、まだ背が低かった。